東日本大震災直後に創設された当団体は、千年先まで語り継ぐべき「震災の物語」を集めて巡礼地として定め、現在95カ所の巡礼地を選定しています。「語り継ぐことこそが防災」と私たちは考え、現在も新たな登録地の調査、検証を鋭意進めています。しかし実際巡礼地を巡る方々の報告は決して多くはありません。そこで、「震災の物語」を千年先まで語り継いでいくための大胆な仕掛けとして、「東日本大震災被災地の世界文化遺産登録」を掲げたいと思います。併せて、道を育てる活動を進めながら、各巡礼地の協力者のみなさまらとのネットワークを展開していこうと考えます。
　東日本大震災の被害の甚大さと、13年経とうとしてもまだ立ち上がれず苦しむ多くの方々がいます。一方、被災地以外では震災はすっかり風化してしまっていることに危機感を覚えます。私たちが収集している震災の物語を後世に伝えるためにも、繋いでいくための手段が必要です。世界文化遺産登録により国内外の多くの方々が被災地を旅してくだされば、それが何よりも震災の記憶の風化を防ぎ、次の津波の最大の防災になると考えます。