こころのみちの物語 ~先人の知恵~
東日本大震災後、海外からの多くの観光客が訪れるようになった松島。日本三景の景勝地でもあります。
松島湾に浮かぶ260余島を東西南北から一望できる名所がビュー・スポット奥松島三大観です。
奥松島三大観は東北お遍路プロジェクトの百数十カ所の巡礼ポイント候補としてもそれぞれが挙がっており調査を致しました。
(1)東松島市の富山観音堂・大仰寺
杉・松・もみの大木におわれた山頂には奥州三観音の一つ富山観音・大仰寺、東日本大震災時に活躍した無線基地がおかれました。普段は無人のお寺の庭からの眺望は麗観と言われていますが、避難してきた人たちはどんな思いで眺めたのでしょうか。
(2)七ケ浜町の多門山公園
海抜556メートルの展望台もあり断崖に打ち寄せる波の雄大さの偉観。人々の憩いの場、観光客の訪れる場所です。震災当時やはり多くの人たちが避難したとの事。
(3)東松島市の大高森
松島湾内に点在する八百八島中最大の島が宮戸島。今は陸続きの宮戸島の山頂(標高106メートル)から松島を箱庭のようにあるいは、大小の盆栽の集まりである大盆栽と言われ壮観であるという。
その大高森山麓にある貞観地震の千年石碑がある観音寺の住職 渡辺照悟さんにお話を聞きました。
近辺は仙台白菜のタネとり場、菜の花のきれいな島ですが、タネまき直後の大震災でした。松・山桜・椿も見事で大高森へ続いています。観音寺のすぐ近くに貞観地震の千年石碑があります。そこより下の海岸寄りには家を建てるべからずの言い伝えがあり大地震があれば高い所へ逃げるという習慣のある住民は大高森・宮戸小学校・観音寺へ避難しました。
大津波は石碑の手前10m手前で止まりました。先人の言い伝えが多くの命を救ったのです。その事に感謝して、1142年経ち風化してほとんど文字の読めなくなった貞観地震の千年石碑の脇に私は貞観の碑に感謝と彫り石碑を建てました。
先人は賢い。大きな自然災害があったら子孫にその方策をとってきた。石碑・文面・言い伝えはありがたい知恵だ。我々はこれからも忘れずに尊重しそれを生かしてゆくべきです。
(文責:一般社団法人東北お遍路プロジェクト理事 会沢浩平)